5月2日(水)~6日(日)の期間は、常設展を行います。
4月29日まで開催の展覧会に引き続き、山本晶の作品を一部継続展示する他、5月11日より新作個展を開催する竹中美幸の2011年のアクリル樹脂を使った作品が出品されます。11からのまったく異なる新作個展の作品と見比べるためにぜひ今回の展覧会でこれまでの作品をご確認ください。
また椛田ちひろの未発表の鏡を使った作品が出品されます。こちらは先月まで一部限定で公開していたものでした。出版されたばかりの椛田のカタログの表紙にも使われている鏡を使った作品は昨年6月のアートフロントギャラリーでの展覧会で発表されたものです。このタイプの作品は現存するものはほんの数点のみ。今回展示するのはさらに珍しい正方形の鏡です。
その他にLIXIL Galleryや横浜市民ギャラリーあざみ野での展覧会を終えた吉田夏奈の「空中散歩」を展示します。吉田はこれからアートフロントギャラリーでの展覧会も計画されていますが、2月のあざみ野での展示を見逃した方は必見です。
他にも小野耕石、角文平など様々な作家の作品をご覧いただけます。展示が新しく切り替わったばかりの蔦屋書店のカフェスペースAnjinとあわせてぜひお立ち寄りください。
出展作家
一見して絵画のような平面作品は、シルクスクリーンによるもので、画面に無数の細かい菱型が並ぶように版を制作し、色を変えながら60回から100回重ね刷りあげる。数ミリの高さに積みあがる「インクの柱」をもとに独自の表現方法を追求し、2015年VOCA賞に輝いた。また小野は立体やインスタレーション作品も手掛け、インクの柱を動物の頭蓋骨に一本一本植え付けた鱗頭シリーズやセミの抜け殻を使った徒花シリーズなどがあり、平面と立体の間を往来しながら版画で可能な表現の領域を広げている。
作家が見た風景をもとに、形や影などを色面で構成する平面作家。はじめの頃は抽象表現主義のような勢いのある筆致を特徴としていたが、文化庁在外研修員として渡米した2005年あたりから作風に転機が訪れ、窓や建造物の構造といった都市的・幾何学的な部分を切り取って頭の中で構成するスタイルが中心となっていったようだ。近年はこれに加えて映画のパノラマを見るように一画面に多視点を同時に創出するなどの試みも行っている。様々な色のスキームが楽しめる作家でもある。
康 夏奈(吉田 夏奈)Chihiro Kabata
黒色ボールペンでインクジェット紙などの上に不定形なかたちを描くことで知られる作家。ボールペンの動きは繊細かつ力強く、独特の質感が海外でも人気を博し、これまでシンガポール、中国、スイスなど様々な場で展覧会が行われてきた。最近の個展では石を置いて光をあて、多方向にできる影をボールペンでトレースし、石が辿ってきたみえない時間を視覚することに成功した。ボールペンのほか、指と手で描く油彩画、樹脂を鏡の上に垂らすドローイングなども手掛け、表現の幅を広げるだけでなく、自身のボキャブラリーを駆使して空間をつくっていく可能性を模索し続けている。
竹中美幸は初期では余白をいかした柔らかな色彩で描く種子のシリーズを描いていた。その後竹中の主軸をなすようになった樹脂の作品は、雫型の樹脂を数枚のアクリル板にたらした層アクリル板にたらしたもので、光を反射しその影を落とす。水彩絵の具で描かれた繊細なにじみとともに影が映りこみ、作品外部にある光の条件を取り込んで、様々な表情をなげかけてくる。竹中の作品は一貫してその作家性を主張しながらも空間に柔らかくとけこみ、パブリックスペース、住宅を問わず幅広い場に調和し、新たな空間を創出する。2013年にはフイルムに恣意的に光を露光することで色を与え、それを複数の層として重ねることで見えないはずの光、あるいは光によって初めて見えるようになるはずの何かをフイルムという物体を通して可視化する作品も発表した。
角の特徴は、製作においてまず、手元にある材料からステレオタイプな「物」を作ることにある。それは誰が見てもどこにでもありふれたナイフや椅子や引き出しでなければならない。ステレオタイプな「物」でなければ日常品そのものが持つ「記号」としての意味が発揮されないかもしくは必要以上の意味が付随してしまうのだ。彼の作品が次に特殊なのは物と物をパズルのように組み合わせることで本来の物が持つ機能や意味をずらし、新たな意味を生じさせることにある。「人間の巣」シリーズでは家とクレーンとが組み合わされていることで現代の都市の住環境の不安感をうまく表現している。見慣れた物と物の組み合わせで実際にはあり得ないことを見せることが角文平の作品の明快な面白さであり、そこから生じる意味の振幅もこの数年で非常に広がりを持ってきている。
これまでモノとして面白い作品を作ってきた角は、2013年春に瀬戸内国際芸術祭に参加し、空間に個別の意味を持たない美術館やギャラリー以外の場所において、その空間や地域のもつ意味を作品の中に取り込むことで新たな作風の展開を見せてくれた。物と物を組み合わせることだけではなく、今後はますます物と空間を組み合わせる展開も見せてくれるものと期待される。