4月の展覧会は、目に見えるものの形、影などを一つの画面に色彩として表現する作家、平面を主体に表現する作家としてその実力を評価されてきた山本晶の個展です。2005年に文化庁在外研究員としてニューヨークに一年間滞在し、フェルトなど、それまでと異なる素材にも取り組みはじめている作家の新作を展覧します。
※会期中、ヒルサイドフォーラムでも作品の展示をしております。
本展は、目に見えるものの形、影などを一つの画面に色彩として表現する作家、山本晶の個展です。2008 年春に続く2 回目の開催となります。
シェル賞、VOCA、損保ジャパンなどの展覧会を通じて平面を主体に表現する作家として評価されてきた山本ですが、1990 年代の半ばから2005 年に文化庁在外研究員としてニューヨークに行く頃までの作品と今現在の作品を比べると作風がどこかで大きく変わったことに気付きます。
勢いのある筆致とどこか伝統的なバランスの良い画面構成をひとつの特徴と思われましたが、近年はストロークの線としての筆あとはごく控えめになり、むしろ色彩や形の構成に作家の関心がシフトしている印象があります。筆致に重きを感じさせないことで山本の作品は作家の表現や感情を読み取るものというより、ニュートラルな記憶を投影させるスクリーンのような存在に近づき、むしろそこに何をどのように選び、どう映し出していくのかが作品の課題となっているようです。
明確に何かの形をとった線が現れたかと思う一方、別の輪郭線と重なりちがう形に溶け込んでゆく山本の作品と、私たちの視覚もしくは記憶の在り方は似たものかもしれません。それは見えているものから選び、重ね合わせ、ひとつの記憶のポケットの中に「出てもいるし入ってもいる(in | out)」状態です。
今回は最新作によって構成された展覧会となります。これからますます楽しみになってゆく山本の平面世界をぜひお楽しみください。
出展作家
作家が見た風景をもとに、形や影などを色面で構成する平面作家。はじめの頃は抽象表現主義のような勢いのある筆致を特徴としていたが、文化庁在外研修員として渡米した2005年あたりから作風に転機が訪れ、窓や建造物の構造といった都市的・幾何学的な部分を切り取って頭の中で構成するスタイルが中心となっていったようだ。近年はこれに加えて映画のパノラマを見るように一画面に多視点を同時に創出するなどの試みも行っている。様々な色のスキームが楽しめる作家でもある。