特別展示

会期終了

2019年5月31日 - 6月9日

鴻崎 正武 'TOUGEN TOUHOKU' / 2017 / 1620x4860mm
現在アートフロントギャラリーでは、世界中で活躍する関連作家たちの貴重な作品群を展示しています。どうぞご高覧下さい。
【出品作家】
・クリスト
・カールステン・ニコライ
・ムニール・ファトゥミ
・大岩 オスカール
・金氏 徹平
・鴻崎 正武
・南条 嘉毅
・田中 望
・山本 晶
・中岡 真珠美
営業時間11:00 - 19:00 (月、火休)

出展作家

カールステン・ニコライCarsten Nicolai

視覚芸術の活動とならび、アルヴァ・ノト(alva noto)の名前で電子音楽を制作発表しているドイツのアーティスト。1999年にレーベルraster-notonを設立し、多様な実験音楽の作品をリリースする傍ら、坂本龍一、池田亮司とのコラボレーション「cyclo」や、他のミュージシャンとの共演でも国際的に知られる。2005年にドイツ国内2ヵ所で開催された包括的な個展の他、ドクメンタⅩ(1997)、第49回・50回ヴェネチア・ビエンナーレ(1999, 2001)など国際展への参加多数。2012年から2013年にかけて、大規模な映像インスタレーション《unidisplay》がモントリオール、ミラノ、フランクフルトを巡回した。国内では山口情報芸術センター[YCAM]での個展(2010)のほか、越後妻有アートトリエンナーレ(2003, 2012)、第4回ヨコハマトリエンナーレ(2011)などに参加している。2014年文化庁メディア芸術祭アート部門大賞受賞。アーティスティックな形態とアプローチの統合を目指すニコライは、グリッド、コード、エラー、ランダムや自己生成構造といった科学的なシステムや数学的パターン、記号論を応用する。2015年12月、ギャラリーでbausatz noto というレコードプレイヤーを組み合わせた作品を展示した。

ムニール・ファトゥミMounir Fatmi

1970年、モロッコのタンジェ生まれ。市内で最も貧しい地区のひとつ、カサバラタ地区の蚤の市で幼少期を過ごす。廃棄物や廃品が過剰に増殖する環境。後に作家は、この幼少期を最初の芸術教育としてとらえ、この蚤の市を廃墟と化した美術館や、社会を理解するためのバロメーターに例えた。ファトゥミは、危機的状況にある社会におけるアーティストとしての自分の役割を常に意識している
これらのビジョンから、彼の芸術作品の本質的な側面が浮かび上がってくる。もはや使われなくなったメディアと産業・消費主義文明の崩壊というアイデアに影響され、彼は芸術作品をアーカイブと考古学の中間に位置づけている。
アンテナケーブル、タイプライター、VHSテープなどの素材を用いて、ムファトゥミは、危機的状況にある社会における世界とアーティストの役割に疑問を投げかける。彼は、建築、言語、機械からなる三位一体のプリズムを通して、そのコードに捻りを効かせ、テクノロジーの歴史とポップカルチャーにも影響を受けている。その結果、モーニル・ファトミの現在の作品を、制作中の未来のアーカイブとして見ることもできる。それらは現代史における重要な瞬間を表しているが、これらの技術的な素材は、知識の伝達やイメージの暗示的な力をも問いただし、テクノロジーやイデオロギーに縛り付ける幻想的なメカニズムを批判している。
第5回光州ビエンナーレ、第10回リヨン・ビエンナーレ、第5回オークランド・トリエンナーレ、第10回・第11回バマコ・ビエンナーレ、第7回深圳建築ビエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭、越後妻有トリエンナーレ。彼の作品は、チューリッヒのミグロス美術館、ジュネーブのMAMCOなど、数多くの個展で発表されている。MAMCO、ジュネーブ。ピカソ美術館(ヴァロリス)。AKバンク財団、イスタンブール。美術館クンスト・パラスト(デュッセルドルフ)、ヨーテボリ・コンストハーレ。グループ展では、ポンピドゥー・センター(パリ)、ブルックリン美術館(ニューヨーク)、パレ・ド・トーキョー(パリ)、MAXXI(ローマ)、森美術館、岐阜県美術館、東京都庭園美術館、マトハフ(ドーハ)、ヘイワード・ギャラリー、ヴィクトリア&アルバート美術館(ロンドン)、ファン・アッベミュージアム(アイントホーフェン)、ナッシャー美術館(ダーラム)、ルーヴル・アブダビなど。
アムステルダムのウリエット賞、2006年の第7回ダカール・ビエンナーレのレオポルド・セダール・センゴール大賞、2010年のカイロ・ビエンナーレ賞、2020年のアルタイ・ビエンナーレ(モスクワ)の銀盤賞など、数々の賞を受賞。

中岡 真珠美Masumi Nakaoka

作品を描くときに対象となる風景を写真におさめ、その景色そのものを描くのではなく、反覆するイメージから不定形な新たな輪郭を描いていく。その平面の地は、色彩やメディウムの構成に置き換えられることで物質感を失いながら、記憶の断片のようなモチーフをつくりあげていく。樹脂塗料、カシューを用いたその平面の質感も含めて、独特な平面作品を構成している。最近では山間の廃屋や皇居前の松原などをモチーフとしてとりあげ、浅い遠近感を創出すべく、視点を定めた画面の分割、構成や多視点から描くことで対象に近づくなどの手法を取り入れている。海外でのレジデンスも含め活動の幅を広げている。

大岩 オスカールOscar Oiwa

物語性と社会風刺に満ちた世界観を、力強くキャンバスに表現するアーティスト。独特のユーモアと想像力で、サンパウロ、東京、ニューヨークと居を移しながら制作を続けている。サンパウロに生まれ、建築学科を卒業した作家は、東京の建築事務所で働きながらアーティストとしても活動。奨学金を得てニューヨークに移り住み、現在も米国を拠点としている。大岩はよく旅をし、移動しながら複数の文化に根差した自らのアイデンティティを模索しているように思われる。緻密なタッチや鳥瞰図的な構図を使い、新聞記事やネットの中に社会問題の糸口を見出し、入念なリサーチをもとに大画面をしあげる彼の作風のファンは多く、国内外の多くの美術館で作品が収蔵されている。2019年の金沢21世紀美術館での個展には15万人以上の来場者があった。

山本 晶Aki Yamamoto

作家が見た風景をもとに、形や影などを色面で構成する平面作家。はじめの頃は抽象表現主義のような勢いのある筆致を特徴としていたが、文化庁在外研修員として渡米した2005年あたりから作風に転機が訪れ、窓や建造物の構造といった都市的・幾何学的な部分を切り取って頭の中で構成するスタイルが中心となっていったようだ。近年はこれに加えて映画のパノラマを見るように一画面に多視点を同時に創出するなどの試みも行っている。様々な色のスキームが楽しめる作家でもある。

金氏 徹平Teppei Kaneuji

1978年京都府生まれ。モチーフは主に日常的なイメージをはらむフィギュアや雑貨。現代社会で再生産され続ける情報のイメージを、リズミカルに反復と増幅を繰り返し展開させることで注目を集める。個々の物体が持つ本来の意味が無視されて繋げられることで、思いもしなかったダイナミックな表現がもたらされている。

鴻崎 正武Masatake Kozaki

鴻崎の描くTOUGEN は古代中国の理想郷桃源に端を発し、ヒエロニムス・ボッシュや南蛮屏風、洛中洛外図を思わせる構図や金箔の使用が認められる。しかし近寄って細部を見ると、描かれているものは中世の異形や奇怪な動物、あるいは未来の乗り物や遺伝子の掛け合わせでできたような動植物であり、その有様は科学技術の行き過ぎた結果としての文明に警鐘をならしているようにも見える。また東北大震災によって郷里の福島県が被災した経験を受けて、東北芸工大の学生たちも交えて「東北画」は成立し得るのかという問にも真摯に向き合っているようだ。赤べこやこけしが近作の画面に散見されるのはその表れかもしれない。