「瀬戸内国際芸術祭2025」夏の注目エリア・作品

2025年07月10日

いよいよ8月1日より瀬戸内国際芸術祭2025の夏会期がスタートします。夏会期(2025年8月1日~8月31日)にしか見ることができないエリアなど、夏の新作注目エリアをご紹介します。

【大島】ニキータ・カダン、田中泯、梅田哲也、鴻池朋子

ニキータ・カダン
「枝と杖(支えあうことのモニュメント)」

瀬戸内国際芸術祭を契機に外の世界に大きく開かれてきた大島。今回の芸術祭でも、力のある作家たちがハンセン病の記憶を語り継ぎ、未来への希望をつむぎだす。ウクライナから参加したニキータ・カダンは入所者が互いに支え合ってきた姿を表現。田中泯の場踊りとの貴重なコラボレーションも実現する。
梅田哲也は盲目の方や島内で生活してきた方に向けた、豊かな音を奏でる共鳴窟を制作。
かつて元患者さんたちが切り拓いた「相愛の道」を再開し、生き延びるための抜け道をつくってきた鴻池朋子は、今回は頂上へのルートを復活させる。
大島について詳しくはこちら

【高松港エリア】ベトナムプロジェクト

現在、日本に暮らすベトナム人は60万人を超え、中国に次ぎ在留外国人数第2位。日本にとってもっとも関係の深い国のひとつとなったベトナムにフォーカス。高松港にはベトナムの魅力がぎゅっと詰まったマルシェが出現する。家族や村の“共(Cong)”によって代々受け継がれてきた伝統工芸の職人たちが来日。職人とデザイナーの“共創”から生まれた、美しく個性的な雑貨やグッズが並ぶ。さらに、人々が“共”に集い語らう場とレトロなデザインが話題の「コン・カフェ」が日本初上陸。
ベトナム現代美術展(香川県立ミュージアム)では、ドイモイ(開放政策)後の世代の表現を展観。8月8日にはベトナムの魅力を様々に語り合うシンポジウムも開催する。

ベトナムプロジェクトについて https://setouchi-artfest.jp/priority

【引田エリア】レオニート・チシコフ、マリーナ・モスクヴィナ、ラックス・メディア・コレクティブ

レオニート・チシコフ「みんなの手 月まで届く手袋を編もう!」
 

今回から新たに参加する東かがわ市では、アートによる地場産業活性化を試みる。明治時代に始まった引田の手袋作業は、現在、日本の90%以上のシェアを誇り、野球選手のグローブもこの地域でつくられ、有名ブランドの名で世に出されている。会場のひとつである「東かがわ手袋ギャラリー」では、建築家による空間改修から行い、レオニート・チシコフマリーナ・モスクヴィナが物語を描き、その世界を作品で表現する。実際の絵本も発刊される。元酒蔵の会場ではラックス・メディア・コレクティブが桶や光を使い、手袋工場や醤油工場が立ち並ぶ引田の記憶を表現する。

【志度・津田エリア】やんツー、ケイトリン・RC・ブラウン&ウェイン・ギャレット、雲門舞集

ケイトリン・RC・ブラウン&ウェイン・ギャレット「時間との対話」

東かがわ市と共に新たに加わったさぬき市。志度・津田エリアは、平賀源内の生誕地であり、四国遍路第86番札所や樹齢600年以上の根上がり松約3000本が砂浜に並ぶ「津田の松原」など、見どころが多い。その魅力を引き出す案内役として、やんツーは平賀源内記念館にその創造性に着想を得た作品を、ケイトリン・RC・ブラウン&ウェイン・ギャレットは松原にレンズを使った美しいインスタレーションを展開する。また台湾の世界的ダンスカンパニー・雲門舞集が観客参加型の公演を開催し賑わいをつくる。

※本ページでご紹介した作品のほか、上記各エリアには多数の作品があります。ぜひあわせてご鑑賞ください。

瀬戸内国際芸術祭2025 夏会期開催概要
夏会期:8月1日(金)~8月31日(日)
開催地:志度・津田エリア引田エリア(夏会期のみ)
    直島/豊島/女木島/男木島/小豆島/大島/犬島
    高松港エリア/宇野港エリア
公式サイト setouchi-artfest.jp/