アルフレド&イザベル・アキリザンAlfredo & Isabel Aquilizan
アルフレド&イザベル・アキリザンは、夫婦であり、親であり、アーティストである。彼らはそれぞれクリエイティブな職業を追求しながらも、5人の子供を持つ家庭での日常生活を共同制作のテーマとしている。モノを収集して作品化する、あるいはモノが誰のものか、どこのものかといったルーツも意識して作品にするという傾向は、アキリザン自身が子供たちを育てながらこどもたちの幸福を追求するという姿勢にも関連しているだろう。親族間の結びつきが強いフィリピンの環境では、アキリザンの子供たちは孤独であるどころか、家庭に出入りする「親族共同体」の一部である。長年にわたって住んできた彼らの住まいには、成長していらなくなった服やおもちゃ、倉庫に積み上げられた家具、小道に散らばったものであふれており、アキリザンはこれまで通過してきた家族の歴史の証として、それらを集めているのだ。
彼らの作品には、故郷や国の記憶が色濃く反映されている。この記憶は、人、場所、出会いの生きた歴史の細かい部分を記憶している点で、回想のプロセスと見なされる。このようなプロセスに取り組むことで、彼らは地域社会と協力し、そこに住む人々のつながりを築いている。家庭用品、思い出の品、日用品、使われたもの、捨てられたものを集めることで、彼らは相互作用のシステムとしての芸術の生態系を蘇らせ、それらの違いを相互に批評し合い、コミュニティとしてまとまることを志向しているのだ。
アルフレドとイザベルのプロジェクトの多くは、この収集の本能と展示のテクニックを示している。彼らは美術館に泊まって、その周辺に自分たちが住んだという痕跡を残してきた。オーストラリアでは親戚の形見を、日本では靴や歯ブラシ、ゴミなどを、韓国では毛布や夢を、フィリピンでは青春時代の証明写真や生活用品を探し出して作品に取り入れた。
アルフレド&イザベル・アキリザンの制作方法は、まず、思い入れのあるモノを保管し、いわば目録のような形でそれを提示する。それは、5人の子供を持つ家族にとっては必然的なことであるが、親族であれ国家であれ、大衆であれグローバルであれ、集団の親密なコンテクストを求めるアーティストにとっては偶然の要素もあり、オーストラリアに移住したフィリピン人としての異文化経験や、世界各地でのインスタレーションの依頼によって、作品はさらに深まっている。
アルフレド・アキリザンは、幅広いメディアを扱うアーティストでもある。ドローイング、ペインティング、彫刻、メディア・ミックス、アッサンブラージュ、インスタレーション・プロジェクトなどを手がける。1986年にフィリピン女子大学で美術の学位を取得。ポリテクニック大学で修士号を取得。現在、オーストラリアのブリスベンにあるグリフィス大学で博士号を取得中。妻のイザベルとともに、ヴェニス、シドニー、シンガポールなどのビエンナーレ/トリエンナーレに出展。フィリピン芸術高校、フィリピン大学ロスバニョス校、クイーンズランド芸術大学(ブリスベン)で教鞭をとる。
イザベル・アキリザンは舞台芸術の教師でありアーティスト。演出家、女優でもある。パフォーマンスのプロセスとその本質的な共同作業の可能性に取り組み、夫とともにメディアと距離のギャップを超えたインスタレーションに取り組んでいる。5人の子どもを持つ母親としての役割は、家事、育児、養育、思い出の収集によって維持される家や生息地として、インスタレーションという芸術の再現に介入することを可能にしている。1986年、アサンプション・カレッジでコミュニケーション・アートの学位を取得。
現在、ふたりのアーティストは5人の子供たち、ミゲル、ディエゴ、アミハン、レオン、アニウェイとともに、ファミリー集団「フルーツジュース・ファクトリー・スタジオ」で活動している。