2019年、真珠美さんが新作を発表すると聞いて、こころが踊った。きっと目を見張るギャラリーに出会えると確信する。
真珠美さんの絵は、4次元空間から生まれるこころの中の「風景」である。この作家だけが見る風景が、アクリルのキャンバスに描かき出される。描かれたその2次元の世界を見る瞬間、それを勝手に自分のこころの風景にしてしまうことができるのである。
彼女は、「例えば、キャンバスには家を描くんだけれども、家の形を説明するために描くのではなく、イメージを表現する為に使う。無意識の中の琴線に触れられるカタチをまさぐって、キャンパス上で表皮(膜)となってあらわれるものをかたどっていく」といったことがある。
その頃の彼女の絵には、ほとんどの場合、具体的な風景のキャプションがあった。その風景は、採石場であり、原爆ドームであり、廃屋であり、ときには楕円という題になったり。
しかし、絵からそれらを見いだそうと努力することに意味はない。見る私は勝手に自分なりのキャプションを想いながら、あるいは無心に、きれいな色を眺めていればよい。
2004年2月9日月曜日、私は中岡真珠美さんに京都大学百周年時計台記念館で感謝状を渡して、しばらく話す機会を得て、瞬間を切り取る俳句のことを彼女に話した。その前に彼女の絵に出会った時、俳句と同じだと思っていたからである。俳句は瞬間を切り取るのだが、その瞬間を表現するために、試行錯誤しながら作品に仕上げる。
その後、何度か彼女の個展を見る機会があった。アクリルでキャンバスという作品は、2004年の「FALL line」、2006年の「Drip」でも同じように続いていた。2012年7月13日、アメリカ合衆国総領事館の近くで見たときには、ギャラリーに入った途端に目に飛び込む色の変化が強くこころに残った。
さて、今度はどのようなひらめきを、私のこころに与えてくれるのだろうか。それがとても楽しみなのである。
2019年5月8日