この度アートフロントギャラリーでは、中岡真珠美の新作個展を開催致します。
作家の詳しいプロフィール、作品については下記リンクにある作家ページをご覧ください。
昨年の秋、アートフロントギャラリーでの「風景の間」以来、一年ぶりの個展となります。中岡は実際に見た風景の輪郭をなぞり、切り取り、色彩を改めて配置しなおし、背景の白さえも、カシューなどさまざまなメディウムを使うことで、ただの余白ではない不思議な質感のある平面に仕上げます。他の作家には無い手法で「具象/抽象」「実際にある風景/平面絵画」の間を自由に行き来する作家です。2007年のVOCA展も2009年のアートフロントでの個展も、全体的な柔らかな色彩と余白をうまく生かしながら、実際に何を見て描いているのかは分からないほど、画面の中で現実が整理され、実物の「代償」でなく、現実との距離や差異や、作家が現実をどのように解釈しているかなどを類推する必要も無い対象として、見る側としては感覚的にそれを受け止めるしかない平面としてその作品は見事に成立していました。
昨年秋の展覧会では変化の兆しが現れたように感じました。例えば窓のような具体的なモチーフを絵から読み取ることができる作品が出品され、大きく変化しはじめた作風に驚き、今後の展開にも大きな期待を持ちました。中岡作品の特徴である爽やかさはそのままで、法枠 (斜面で土砂崩れをとめるコンクリートの枠)や砕石場など、ある意味ではハードな対象を描いていることが作品の題名から伺われ、描かれる対称として選択されるものに作家のオリジナリティーを感じさせます。それまであまり見えてこなかった作家の目と製作手法、私たちの知っている現実と作品を対比させながら作品を読み解くことができ、描き手と見る側の関係も変わってきています。
今回の展覧会では、そのドローイングとキャンバス作品を同時に見せることで、作家の思考のプロセスを垣間見ることができる展覧会となります。また廃墟のような場所など、これまで取り組んでいなかった対象をいくつか選び、展示空間ごとにテーマを考え展開します。この作家が新たな地平へ乗り出していく大きな一歩となる展覧会になるはずです。
アートフロントギャラリー 近藤俊郎
出展作家
作品を描くときに対象となる風景を写真におさめ、その景色そのものを描くのではなく、反覆するイメージから不定形な新たな輪郭を描いていく。その平面の地は、色彩やメディウムの構成に置き換えられることで物質感を失いながら、記憶の断片のようなモチーフをつくりあげていく。樹脂塗料、カシューを用いたその平面の質感も含めて、独特な平面作品を構成している。最近では山間の廃屋や皇居前の松原などをモチーフとしてとりあげ、浅い遠近感を創出すべく、視点を定めた画面の分割、構成や多視点から描くことで対象に近づくなどの手法を取り入れている。海外でのレジデンスも含め活動の幅を広げている。