竹中美幸 -闇で捕えた光 

会期終了

2013年8月30日 - 9月15日

写真:新作イメージ
このたびアートフロントギャラリーにおいて竹中美幸の個展を開催します。これまでアクリル樹脂を使った透明感のある作品で人気の竹中は、このたび新たに35mmフィルムを使った新作を発表。光の折り重なる層の向こうに見えてくる「何か」を追い求めて新らたな作風を編み出しています。
また、7月22日(月)-9月15日(日)にはギャラリーからほど近い代官山 蔦屋書店2号館2階ラウンジAnjinでも展示しております。

新素材について、アーティストインタビューをARTitに掲載しました。詳細はこちらをご覧ください。
 竹中美幸の出会いは2002年の「代官山猿楽祭」の前身の「代官山アートフェア」までさかのぼる。あるベテランのギャラリストが一押し作家として連れてきたのが竹中さんだった。水彩のドローイングとまだ当時始まったばかりの樹脂。今から考えればまだ手法も稚拙だったかも知れないが、方向性はそのころから一貫しており、その手法が熟達して10年後にはVOCA展に出展するようになった。この間、作品としてクオリティが高まるだけでなく、他にもアートフロントの展覧会では樹脂を立体化しようとしてみたり、ドローイングと樹脂を同一の画面で表現してみたり新たな表現を目指した試みも続けてきた。
 ところが、2013年になって竹中は突如35mmフイルムをギャラリーに持ち込み、その試作品を私たちの前に並べ始めた。私たちもこの作家がフイルム現像の仕事を以していたことを思いだし、この10年来の試行錯誤の結果、ようやくアートして結実した作品を初めて目の当たりにした。それはフイルムに恣意的に光を露光することで色を与え、それを複数の層として重ねることで見えないはずの光、あるいは光によって初めて見えるようになるはずの何かをフイルムという物体を通して可視化する作品群である。
 竹中美幸とはどんな作家だろうか。ドローイングでは目を強く閉じ、光の残像を応用して出てくる種子のような物体を描く事、樹脂のシリーズでは透明樹脂の光の陰影によって見えないものをそこに見えるようにすることであった。これまで2極化していた表現に第3の表現が加わることにより、この作家がこれまで種子だとか樹脂だとかというレベルでしか捉えていなかったことに気づかされた。むしろ視覚が像を結び、それが何であるかということを認識する以前の曖昧であり続ける像を表現しようとする作家なのかもしれない。
 10年を経てようやく生まれたフイルムを使った新たな作品群を見ながら、この曖昧な像という現象を、確固たる「もの」としての作品を探し続ける、アーティストの意志が表明される展覧会になると感じている。
アートフロントギャラリー 近藤俊郎
営業時間11:00~19:00 (月休)
会場アートフロントギャラリー(代官山)
レセプション8月30日(金)18:00-20:00
代官山蔦谷書店 Anjin の展示 7月22日(月)-9月29日(日)
作家在廊日9月8日(日)、9月14日(土)、9月15日(日)

出展作家

竹中 美幸Miyuki Takenaka

竹中美幸は初期では余白をいかした柔らかな色彩で描く種子のシリーズを描いていた。その後竹中の主軸をなすようになった樹脂の作品は、雫型の樹脂を数枚のアクリル板にたらした層アクリル板にたらしたもので、光を反射しその影を落とす。水彩絵の具で描かれた繊細なにじみとともに影が映りこみ、作品外部にある光の条件を取り込んで、様々な表情をなげかけてくる。竹中の作品は一貫してその作家性を主張しながらも空間に柔らかくとけこみ、パブリックスペース、住宅を問わず幅広い場に調和し、新たな空間を創出する。2013年にはフイルムに恣意的に光を露光することで色を与え、それを複数の層として重ねることで見えないはずの光、あるいは光によって初めて見えるようになるはずの何かをフイルムという物体を通して可視化する作品も発表した。