藤堂良門 展 – 7000 Basalt

会期終了

2011年5月13日 - 6月12日

この度、アートフロントギャラリーではドイツを制作の拠点とする藤堂良門の個展「7000 Basalt」を開催致します。作家の詳しいプロフィール、作品については下記リンクにある作家ページをご覧ください。
10年以上前に単身でヨーロッパに渡りデュッセルドルフを拠点に制作活動を続ける作家の新作個展となる。今回の展覧会のタイトルともなっている作品は、かつてヨーゼフ・ボイスが1982年のドクメンタ7において7000本の樫の木を植え、7000個の玄武岩を置いた「7000 Eichen(7,000本の樫の木プロジェクト)」との関係性から考えても興味深い作品であるが、ボイスのように社会との関係性の中で芸術を実践しようとする藤堂というアーティストの作家性もここから見えてくる。
2年前に横浜の神奈川県民ホールギャラリーの「日常/場違い」展で紹介されてはいるが、個展として藤堂の作品をまとめて見ることの出来る機会は少ない。私たちが比較的頻繁に目にする藤堂の作品は石を切り、積層ガラスを間に挟んだ作品群である。作品としても美しいものではあるが、むしろ重要なのはコンセプトであろう。石を選ぶために作家はベルリンやノルマンディー海岸など、歴史の記憶を内封した土地を歩き、石とは異なる表情で物質温度を持ったガラスを挟み自身の造作の形跡を加える。ガラスが入ることによって、表面や形を見るだけでなく、物体として抱え込んでいる歴史を読み解かれるべきものとして私たちの想像力を喚起する。それらの石がひとつの空間に並ぶインスタレーションは、様々な場の力のようなものがせめぎ合う新たな磁場のような作品になるであろう。
また、今回の展覧会では作家が日々書きためたドローイングを日本で始めて展示する他、本の間にガラスをはめ込んだ作品も展示される。これら作品の表紙を見ていると物質感としては違っても石の作品とコンセプトは一貫していることに気づく。世界や思想を語る本の中身がガラスに置き換えられ、ガラスの断面からは文字が透けて見えることもある。一冊一冊を見ていてもそれぞれの重量感を感じさせるが、作家が選び、並べられた本と本の関係性を考えることも世界を読み解くほどの重量感があるであろう。選び取るという作家の行為と、そのものに対する働きかけという作家の作業、また作品として提示されたものから世界を読み解く私たちの行為を通じてものと私たちは美術を通して生の社会と確実に結びついているのである。 
アートフロントギャラリー 近藤俊郎
営業時間11:00~19:00 (月休)
会場アートフロントギャラリー
イベントオープニングレセプション 5月13日(金) 18:00~20:00
作家在廊日 5/15(日)、5/29(日)

出展作家

藤 堂TODO

藤堂の作品の背景には常に時間がある。その作風は「場所の固有性」をテーマに自ら歩いて集めたものを中心に創造され、様々な形態を持つ。もっとも代表的な作品はドイツ滞在時に制作されたもので、世界各国にある史実を刻んだ土地の石を切断しその切断面に積層ガラスを埋め込み磨き上げたものである。バサルト・シリーズでは玄武岩を使って列柱状のインスタレーションも行うが、これはヨーゼフ・ボイスがドクメンタ7で始めた「7000本の樫の木」プロジェクトからインスピレーションを得たものだという。また、本のシリーズでは西洋の哲学書・小説・聖書や讃美歌などを扱い、積層ガラスをはさむ方法とページを樹脂で固める二種類の方法で作品を制作している。デュッセルドルフに10年以上住み、肌で感じた西欧文化と日本の美意識が融合されている藤堂の作品は、国内外で人気が高い。東日本大震災を機に制作拠点を日本に移してからは、社会の新陳代謝の中で消えていく名建築の瓦礫や故郷の宇和島で養殖された真珠を用いた作品も発表している。