エスパシオ ナゴヤキャッスル インタビュー「世界に誇るアートミュージアムホテルへ」

2026年2月20日

2025年10月1日、興和株式会社が展開する「エスパシオ」ブランドホテルのひとつとして、〈エスパシオ ナゴヤキャッスル〉が開業しました。興和発祥の地・名古屋に、ハワイ、箱根に続く3館目として誕生。名古屋城を望む、堀を挟んだ対岸に位置しています。

アートフロントギャラリーは、同ホテルのアートプロジェクトのパートナーにコンペティションを経て選ばれ、約50名の作家による約400点の作品をコーディネートしました。足掛け5年にわたる本プロジェクトについて、東弘匡さん(エスパシオ ナゴヤキャッスル 総支配人室長)、西脇カオリさん(同 総支配人室 管理部部長)にお話を伺いました。

  • エスパシオ ナゴヤキャッスル外観―名古屋城の堀に面した立地

―ウェブサイトには「世界に誇るアートミュージアムホテルへ THE POWER OF LEGEND」という言葉が掲げられていますが、この言葉に込められた思いを教えてください。

東)エスパシオというブランドは、本物にこだわり、日本に息づく文化芸術、日本の工芸を前面に打ち出し、世界に発信するブランドです。ロープやガラス越しに見る美術館とは異なり、このホテルのためだけに作られたアートを間近に鑑賞することができます。また、名古屋城を眼前に、21世紀の城を思わせる建築をしています。大切な日の晴れ舞台としてお使いいただけるホテルを目指しています。

―特に「金」が印象的ですが、なぜ金に着目しようと思われたのでしょうか。

東)大理石や工芸、手仕事など、このホテルはどこを見ても本物しかありません。その中でも金は、尾張名古屋の武家文化時代を踏襲した絢爛豪華なありようを体現しており、また活力を与えてくれるため、ゲストの繁栄と幸運を願うこのホテルにふさわしいからです。縁起の良い「麟鳳亀龍」の四霊獣をモチーフとしたのも、お越しいただいた方々に喜んでいただく、という興和株式会社の歓待の姿勢のあらわれでもあります。

  • 1Fエントランスホール 壁面:斉藤上太郎《麟鳳亀龍図》|天井:松原賢《麟鳳亀龍》(撮影:市川靖史)

―興和株式会社は名古屋が発祥の地ということで、特に力を入れられたと感じています。ラグジュアリーホテルの価値を高める手法は様々ですが、今回「アート」に注力した理由をお聞かせください。

東)エスパシオは、既存のラグジュアリーホテルの概念を超えたホテルを目指しています。唯一無二のホテルを目指す上で、本物志向で隅々まで手を抜かずに創造されたもの―アートを配置するというのが一つの強みだと考えています。

―そんな唯一無二の作品を作るアーティストとの共同作業についてはどう思われましたか。

東)作家の方々が目の前で作品を仕上げていくところのすごさ、造形に対して魂が入っていく様子にとても感動しました。それらがホテルの各所に配置され、多くのゲストに見て、共感いただけることが何より嬉しいと感じています。

西脇)左官アートの挾土秀平さんや久住有生さんが制作されているところを拝見した際、やはりすごいなと感じました。どのように出来上がるのだろうと想像が膨らみ、とても貴重な体験でした。

  • 1F宴会エントランス 挾土秀平《⽩龍》

―今回アートフロントギャラリーは、アート計画のパートナーという形で関わらせていただきましたが、5年前、コンペティションで選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか。

このホテルに対して、またアートに対しての意欲が伝わったのではないでしょうか。今回、50人の作家、400点の作品ということで、これだけのアーティストと繋がりがあり、「和巧絢爛」というコンセプトを説明して、このホテルのために制作していただくのは大変なことだと思います。その裏には大変な作業があったのだろうと思うと感謝しかありません。

―様々な素材や技法のバラエティに富んだこのプロジェクトを通して、アートに対する認識など何か変わられたことはありますか?

東)私たちはここが平地の時から関わっていますが、このホテルのコンセプトから作家の方々が何を作ろうという段階から始まり、設置に至るまでにどれほどの年月がかかるのか、またそこに魂が込められていく様子に本当に感動しましたね。これからアートを見る際には、やはりそういった経緯や思いがあって制作されたのだろうと想像すると思います。

西脇)2020年当時は模索途中のことがたくさんありましたが、アートをご提案いただいた際に、そのストーリーとコンセプトがとてもマッチしていると感じました。このホテルにそのようなアートが設置されることが、私たちの中ですっと腹落ちした感覚でした。
今では私たちスタッフがアートツアーを開催するようになり、「和巧絢爛」というアート計画のコンセプトや作品について、今度は私たちがゲストに語り継いでいきたいと思います。

  • 季節によって四季の絵画に架け替える—1F宿泊エントランス 鈴木紀和子《枝垂桜》(春)

―スタッフの方々にとってアートの効果というのはありますか。

東)素直に申し上げますと、今ではスタッフもアートについて誇らしげに語っているように見受けます。最初は説明書通りという様子でしたが、ゲストを案内して反応を見て、回数を重ねて沸き立つものがあるのでしょう。今は胸を張って説明をしています。

西脇)私はアート作品に守られているような感覚になるときがあります。ホテルは賑わっていてほしいのですが、夜遅い時間にゲストがいなくなりシーンとした館内で、大きな松や龍などを見ていると、このホテルはアート作品に守られているのではないかと感じる瞬間があります。

1F宴会エントランスホール 大沼憲昭《虎松図》《竹林虎図》(撮影:市川靖史)

―こうして完成した空間を通して、ゲストにどのような体験や記憶が残ることを期待されていますか? また、このホテルのアートは今後どのように育っていくとお考えですか?

東)国内外のゲストに来ていただき、このホテルが放つ「輝き」「オーラ」を受け取って頂き、繁栄を願うホテルの想いとパワーを感じ、元気になっていただけるような場所、大切な人と過ごす大切な一日をお迎えできるホテルでありたいと思います。

西脇)これまでに、このホテルのアートを見るには1泊では足りないと滞在を延泊されたゲストや、レストランをご利用の際にアートに感動し、他のホテルのご予約を変更され、ご宿泊下さったゲストもいらっしゃいました。様々なシーンでご利用いただくゲストがいらっしゃいますが、このホテルを訪れた際にアートに触れて、またここに訪れて見に来たいと思ってもらえたらと幸いです。

左:東弘匡さん、右:西脇カオリさん

東弘匡さん(エスパシオ ナゴヤキャッスル総支配人室長兼副総支配人)
経営企画室長として、約8年にわたりホテル建替えプロジェクトに携わる。

西脇カオリさん(同総支配人室管理部部長)
経営企画室で広報を担当し、約8年にわたりホテル建替えプロジェクトに参画。

エスパシオナゴヤキャッスル 公式サイトでは館内のアートについて詳しく紹介しています。こちらもぜひご覧ください。